デジタル遺品の整理|スマホ・サブスク・ネット銀行の調べ方
故人のスマホの中にあるサブスクは、解約しない限り請求が続きます。ネット銀行やコード決済の残高は相続の対象です。スマホを初期化したり携帯電話を解約したりする前に確かめること、契約先の探し方、Apple・Google のアカウントの手続き、家族のために今からできる備えを、国民生活センターの資料と法令をもとにまとめました。
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故人のスマートフォンの中にあるサブスク(月額などで支払う契約)は、解約の手続きをしない限り、請求が続きます。ネット銀行やコード決済の残高は、ほかの財産と同じく相続の対象です。スマートフォンを初期化したり、携帯電話を解約したりする前に、どんな契約があったかを先に調べます。
葬儀のあと、役所や銀行の手続きと並んで気になってくるのが、故人のスマートフォンやパソコンの中身です。何から確かめればよいかを、順に説明します。
デジタル遺品とは#
国民生活センターは、デジタル遺品に明確な定義はないとしたうえで、資料の中では、スマートフォンなどの機器を通して確かめられるデータや、インターネットで契約したサービスを指すとしています。具体的には、次のようなものです。
- ネット銀行、ネット証券、コード決済(スマートフォンで払うサービス)の口座や残高
- 動画・音楽・ソフトウェアなどのサブスク
- 写真や動画、メール、メッセージ
- Apple や Google などのアカウント
国民生活センターには、遺族が契約内容を確かめたり解約したりしたくても、ID やパスワードの手がかりがなく、手続きに困っているという相談が寄せられています。
国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日)国民生活センター(外部サイト)スマートフォンは、初期化する前に中身を確かめます
国民生活センターの資料では、遺族が携帯電話会社の店舗で故人のスマートフォンのロック解除を頼んだところ、「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた事例が紹介されています。Apple も、パスコードでロックされた機器は、消去しない限りパスコードの解除を手伝えないとしています。初期化すると、中のデータを確かめる手がかりがなくなります。売ったり処分したりするのは、中身を確かめてからにします。
契約先を探す手がかり#
国民生活センターの資料によると、スマートフォンやパソコンには、ネット上の資産を管理するアプリや契約の確認メールが集まっているため、デジタル遺品を確かめるにはまずそれを見ることが大切です。ただ、パスワードを知らないと、ほかの人がロックを解除するのは非常に難しいとしています。
スマートフォンが開けないときは、身の回りの書類から契約先を探します。
契約先を探す順番
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故人の通帳と、クレジットカードの利用明細を見て、毎月決まって引き落とされているものを書き出す
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自宅に届いている郵便物や、紙で残っている契約書を確かめる
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請求元が分からない引き落としは、カード会社や携帯電話会社に問い合わせる
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株の取り引きをしていたか分からないときは、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求(有料)をすると、証券口座の開設先を調べられる
3つ目は、国民生活センターの資料にある事例です。クレジットカードの明細に覚えのない請求を見つけた遺族が、カード会社と携帯電話会社に相談し、請求元を教えてもらえたとしています。4つ目の開示請求も、同じ資料で紹介されています。
サブスクを解約する#
国民生活センターは、サブスクの契約は、契約した本人が亡くなっても、解約の手続きをしない限り請求が続くとしています。事業者は契約者が亡くなったことを知る手段がないので、相続人となる遺族が解約の手続きをする必要があるとしています。
ID やパスワードが分からなくても、契約先の事業者が分かれば、遺族から連絡することで解約などに応じてもらえることが多いとしています。一方で、「ID とパスワードが分からなければ、すぐには解約できない」と言われた事例もあります。事業者に連絡するときは、故人の氏名、契約に使っていたメールアドレスや電話番号、引き落とされているカードを手元に置いておくと、話が進めやすくなります。
携帯電話の解約は、スマートフォンの中の契約を調べ終えてからにすると安心です。国民生活センターの事例でも、携帯電話を解約したあとで、スマートフォンのセキュリティのサブスクが残っていたことが分かっています。また、電話番号に届く確認の番号でログインするサービスもあります。
ネット銀行・コード決済の残高#
民法は、相続人は、亡くなった人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぐと定めています(第896条、2026年11月時点)。ネット銀行やコード決済の残高も、相続の対象になります。
民法e-Gov 法令検索(外部サイト)国民生活センターの資料によると、相続の手続きには、亡くなった事実や相続人を確かめられる書類(戸籍謄本など)が要ります。店舗のない事業者では書類を郵送でやり取りするため、終わるまでに時間がかかることがあるとしています。コード決済の残高の手続きが、1か月たっても終わらなかった事例も紹介されています。
相続を放棄するかどうかを考えているときは、残高を引き出したり使ったりする前に、家族で話し合ってください。民法は、相続人が相続財産を処分したときは、相続を承認したものとみなすと定めています(第921条)。相続を承認するか放棄するかは、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に決めることになっています。この期間は、家庭裁判所に申し立てて延ばしてもらうことができます(第915条)。
Apple・Google のアカウント#
Apple(iPhone・iPad・Mac)#
Apple には、本人があらかじめ「故人アカウント管理連絡先」を決めておく仕組みがあります。指定された人は、本人が設定したときに作られたアクセスキーと、亡くなったことが分かる書類を用意すると、写真・メッセージ・メモ・ファイルなどのデータへのアクセスを申請できます。日本では、死亡証明書ではなく、亡くなったことが記載された戸籍謄本が要るとしています。
Apple サポート「Apple Account の故人アカウント管理連絡先を追加する方法」Apple(外部サイト)アクセスキーは、家族の Apple Account の設定に保存されていたり、印刷した控えが遺産の書類と一緒に保管されていたりすることがあります。故人アカウント管理連絡先になっていても、購入した映画や音楽、保存されていたパスワードなどにはアクセスできません。
故人アカウント管理連絡先が決められていなかった場合も、Apple のサポートページは、家族がアカウントへのアクセスや削除を申請する仕組みを案内しています。法的な書類を出して審査を受ける形で、場合によっては裁判所の命令などが要るとしています。
Apple サポート「亡くなったご家族の Apple Account へのアクセスを申請する」Apple(外部サイト)Google(Android・Gmail など)#
Google は、家族や代理人から連絡を受け、適切と判断した場合に、故人のアカウントを閉鎖するとしています。場合によっては、故人のアカウントのデータを渡すこともあるとしています。パスワードなどのログイン情報は伝えられず、応じるかどうかは審査のうえで決めるとしています。申請は、アカウントの閉鎖、データの取得など、目的ごとに分かれています。
Google アカウント ヘルプ「故人のアカウントに関するリクエスト」Google(外部サイト)調べたことを書き留める#
見つかった契約は、一覧にして家族で共有しておくと、二度手間になりません。次の項目を書き出しておくと、事業者に問い合わせるときにも使えます。
| 書き出すこと | 例 |
|---|---|
| サービスの名前 | 動画配信、ネット銀行 |
| 支払い方法 | カード、口座振替 |
| 引き落としの日 | 毎月27日 |
| 連絡した日と結果 | 解約済み、書類を郵送 |
家族のために、今からできること#
国民生活センターは、残された家族が困らないための備えとして、次の4つを挙げています。
- いざというときに、家族がスマートフォンやパソコンのロックを解除できるようにしておく
- ネット上の資産やサブスクの契約を、サービス名・ID・パスワードで整理しておく
- エンディングノートを使う(法務省と日本司法書士会連合会が作ったものを、法務省が無料で公開しています)
- Apple や Google の、亡くなったあとにアカウントにアクセスできる人を決めておく仕組みを使う
パスワードは、ほかの人に知られないよう管理することも大切です。国民生活センターは、名刺大の紙にパスワードを書いて修正テープを2〜3回重ねて貼り、家族が必要なときに削って読めるようにしておく方法を紹介しています。パスワードそのものではなく、家族にだけ分かる合言葉を書いておく方法もあるとしています。
国民生活センター 見守り新鮮情報「始めましょう!デジタル終活」(2025年2月20日)国民生活センター(外部サイト)まずは、故人のスマートフォンを初期化せずに手元に置き、通帳とクレジットカードの明細から、毎月の引き落としを書き出すところから始めてください。